第3回横YGMFラップアップ・ウェビナー
第3回 横浜グローバルMICEフォーラム開催後に行ったラップアップウェビナーの内容をご紹介します。いわば、フォーラム開催の振り返りウェビナー。このウェビナー開催には、実は2つほど理由がありました。
- ハイブリッド型会議のモデル構築と実験
- ハイブリッド型会議の舞台裏を共有
当初フォーラムは、フォーラム当日をプレ&ポスト・ウェビナーで挟んで、予習/フィードバックの機能を持たせることを計画していました。現地参加者とオンライン参加者は、フォーラム当日ではなく、2回のオンラインの場で交流するというものです。それをフォーラム+ラップ・アップウェビナー(=ポスト・ウェビナー)という形に簡素化し、ラップアップでは舞台裏を紹介することで、ハイブリッド開催に関する主催/運営側の悩ましいポイントを共有することで、なにがしか参加者のお役に立てていただこうとも考えておりました。
数字で見るフォーラム
ウェビナーでご紹介したのが、まずフォーラムの成果。フォーラムは、2022年1月27日(木)の1日、その後1か月のオンデマンド配信によって開催されました。
全登録者数は196、会場での参加者101、オンデマンドプラットフォーム上でのライブビュー数が95、スピーカーは会場でご登壇いただいたのが9名、オンラインでのご出演が6名で、計15名のスピーカーにお集まりいただきました。
当日プログラムで詳細がご覧いただけますが、本フォーラム、会場参加の方は、朝一で坐禅のおためし体験をしていただきました。次のセッションからオンラインの皆さまも加わり、2022年開催予定だったWCCM-APCOM2022(「世界計算力学会議」 ※残念ながらこの会議は、完全オンラインでの実施となりました)のご主催の先生方に「計算力学」の講義をしていただく、プレ講座を持ちました。ランチを挟んで、オープニングキーノートおよび3本のセッションと、2本のピッチによって構成されておりました。
アンケート結果によると、会場参加を選んでいただいた皆様は、「最新トレンドを学ぶ」「MICEについての知識を得る」といった学習機会としてフォーラムを捉えてくださったのにに加え、やはり「ネットワーキング」を重視されていたことがわかります。
逆にオンライン参加者は、感染症の拡大状況によりやむを得ず、という理由を除けば、学習機会としての参加目的が中心になり、ネットワーキングは重視していない様子がわかります。2020年末にICCA AP Summitを開催した際には、オンライン↔現地のネットワーキングをいかに実現するのか、という点が大きな争点になったのですが、この一年で、現地参加の価値はネットワーキングに、オンライン参加者が重視するのはコンテンツ、という考え方が定まってきたのかとも思われます。
アンケートでは、最終的にフォーラムで得られたものとして、「ビジネス上の協力を得られそうな新たなネットワークを築けた」という項目に1割以上の票が入っていたのは嬉しい点です。「地域連携のその先へ」と第1回目のフォーラムを題し、フォーラムを通じた出会いとつながりから、ビジネス上のパートナーを生み出していくことを目標にフォーラムをスタートしたことを考えると、今後、この割合をもっと伸ばしていけるようプログラムを組んでいくことが課題の一つになってくるかと思っています。
第3回 YGMFを考えるうえでのキーワード
2020.12月のICCA AP Summitの時は、テクノロジー面にフォーカスしたコンテンツを組みましたが、最後は、「音楽で社会課題を解決する」と題したクロージング・セッションで、横浜みなとみらいホールの館長、新井鷗子さんにインクルージョンのテーマを盛り込んだお話で締めくくっていただきました。その流れを引き継ぎ、SDGsの要素をプログラムに取り入れるため、さらに、国際的な業界セミナーのトピックとして頻繁に取り上げらるのに、なかなか日本で話題にならない「DEI - Diversity, Equity, Inclusion」や「Wellness」を、あえてキーワードとして組み込みました。
Wellnessと言っていいのか分かりませんが、会場参加の皆様には、午前中に「坐禅」を体験いただく機会を設けました。横浜は鶴見にある大本山總持寺 参禅室長の花和 浩明 老師に会場にお越しいただいての出張坐禅、しかも椅子を使った略式で、そのエセッンスを味わっていただくというものでした。壁に向かって椅子を並べ、20分余りの時間、実際に坐っていただきましたが、満足度では実に70%の方から5の評価、30%の方から4の評価をいただくなど、とても充実した体験になったようでした。
フォーラム会場
フォーラムは、ICCA AP Summitに続いて、2020年に開館したばかりのノースを舞台に行われました。今回のフォーラムは4階フロアを利用しております。少し話はそれますが、フォーラムのオープニングキーノートでは、東北大学の北村喜文教授にご出演いただき、先生がGeneral Chairを務められていた会議 CHI2021をアクセシビリティの観点からご紹介いただきました。フォーラムの会場計画には、実はこのCHI Conferenceの要素がかなり生きています。
CHI実行委員会のメンバーの方々は、何度か実際に会場までお越しいただき、念入りな視察を行ってらっしゃいますが、アクセシビリティに関する検証の他、会場の使い方に関するお話もかなりさせていただき、
- 空港から会場に直行して睡眠不足の参加者や時差ボケの参加者のために、フォワイエにビーズクッションを並べて、仮眠を取れるようにしたい
- 元気になったら中継を見るから、フォワイエでセッションの映像だけ流して、音はイヤホンで聞けるようにしたい
- きっと皆、セッション会場よりも、フォワイエで話をしているから、ラウンジスペースを大きく取りたい
といった感じで、パンデミック以前の段階から、決められた会場に参加者が収まる、というよりは、参加者に最大限の自由を与えるようなイメージでレイアウトを考えられていたのかな、という気がします。そのアイデアをお借りして、きゅーっと小さくノース4階の中に再現してみました。
今回フォーラムで利用したツール
フォーラムの目標の一つは自作自演-できることは何でも自分でやってみる(やれば身になる。予算もタイト…)。こんな仕組みで動かしていました、というのがこの表です。
イベント用の受付システムではなく、ShopifyというEコマース用のプラットフォームをランディングページ&販売フォームとして使用しています。デメリットは、チケット購入時に参加者情報を集めきれず、「購入ありがとうございます」のご返信メールから、再度入力フォームに飛ぶリンクを踏んでいただくというステップがひとつ余計にかかる点。
今回Shopifyを利用したのは、パシフィコでこの度運用を開始したオンラインお土産販売所CONNECTとの連携を図るためです。今後、このCONNECT上でお菓子だけでなく、ツアーや体験会、イベントチケット販売にも活用できるだろうか…、という実験もかねて、今回、フォーラム参加者の皆様にお付き合いいただくことになりました。(感謝!)
そして、肝心のオンライン・プラットフォームはZoom Eventsを活用。ラップアップ・ウェビナーも、Zoomウェビナーではなく、ZoomEventsの中に会場を設ける形で開催しました。Zoom Eventsは、オンラインのイベントを前提としていて、ハイブリッドをカバーしているわけではないため、当日受付用にもうひとつアプリをかませる必要がありました。これにはE-VE!というシステムを使っています。これによりQRによる非接触受付ができますので、感染症対策と当日のスムーズな受付が可能となりました。
事件発生中!
使い慣れないツール(昨今、様々なオンラインツールが登場しているので、どれを使用しても、それなりの事前検証が必要となってまいりますが…)を使うと、どんなに準備しても、予期しない事件が起こる…ということで、今回も、人知れずいろいろなハプニングが発生しておりました。
- プラットフォームがいつまでたっても待機中…
- 謎のエラーでスピーカーが入場できず
- うっかりスタートボタンを押して、舞台裏が丸見えだった
同じ環境&手順で何度も実験・リハーサルを繰り返したのにも関わらず、起こった事件。プラットフォームの待機中事件はアプリをダウンロードし直すないしアップデートすることで解消しましたが、そのために、かえって海外のスピーカーの元でリハーサル時には起きなかったエラーが発生するという事象が発生。本当に入ってこれなかった時のために、急遽、別途Zoomウェビナーを設定する準備も始めておりましたが、スピーカーが自ら裏技を発見して、無事入場を果たしました。
また、ホストの他に、スピーカー本人がウェビナーを開始できる設定になっているがために(事前注意にも関わらず!)、海外のスピーカーがうっかりマイクテスト中に開始ボタンを押してしまい、テクリハがばっちりオンラインに流れていたのは、まだかわいいくらいの事故でした。
おわりに(そして第4回にむけて)
- チャレンジは必要だが、安全性との兼ね合いが難しい
- イベントは、スピーカー同士の交流の場にもなる
- やっぱりレセプションがないと、ものたりない
第3回のフォーラムでは、若手のスピーカーにも登壇していただきましたが、ベテラン勢に交じって参加したことで、とても刺激になったようです。国内のスピーカーと海外のスピーカーの密な交流の場として、今後、どんどん活用していきたいと思う次第です。
そして、今回は感染症の状況を見て中止としましたが、1日のセッションを終えて、意見交換しながら行うレセプションは、やはりマストな要素だと改めて感じます。次回こそはノースでのレセプションを実施したいと思いますので、どうぞご期待ください。
なお、パシフィコ横浜では、SDGs取り組みの一環として、ご利用いただく催事ごとに、主催者の求めに応じて「廃棄物カルテ」を作成することができます。廃棄物の種類・量を可視化することによって、廃棄物の削減につなげてまいります。次回以降も継続調査してまいりまして、前回利用時との比較も行いつつ、CO2ゼロを目指した運営をしてまいりたいと思います。