選ばれる開催地であるために

YGMF Vol.3_Session 3「選ばれる開催地であるために」
Reimagining the Destination of Choice for Business Events

廣瀬 明 教授 / Dr. Akira Hirose
東京大学、第39回 地球科学・リモートセンシング国際シンポジウム組織・実行委員長
Professor, The University of Tokyo
General Chair of IEEE IGARSS 2019 Yokohama

 

カローラ・ファン・デル・フーフ / Carola Van der Hoeff
国際薬学師・薬学連合[FIP] COO兼コングレス・ディレクター
Chief Operating Officer & Congress Director,
International Pharmaceutical Federation [FIP]

 


[Host] 村山 公美 / Hiromi Murayama
パシフィコ横浜 誘致推進課 係長
Manager, Sales & Marketing, PACIFICO Yokohama

 

コロナ禍に直面し、会議でのオンライン活用が加速する中、対面でのイベントを成功に導くには、「その場所で開催される」ことのユニークな価値を今まで以上に理解することが重要となるはずです。このセッションでは、横浜に縁のある二人の会議主催者から、コロナ前後での会議開催の目的の変化、開催地への期待について伺いました。

廣瀬教授からは、2019年のIEEE IGARSSで実施された、小中学生を集めた次世代育成プログラム、野毛ナイト、フェアウェルでの花火鑑賞、東日本大震災の現場を視察する仙台へのポストカンファレンスツアーなどといったソーシャルプログラムの事例を挙げながら、直接会うことによって参加者の親睦を深められるという、対面の会議がもたらす効果について、ご説明いただきました。地域の文化理解・相互交流がひいては世界平和にもつながるというお話は印象的でした。地域にとっても、研究者と子供たち、地域住民との交流や、研究分野への理解を深めたり、地元の企業との共同プロジェクトを始めるきっかけるになり得るという点も指摘されました。


カローラ氏からは、まずFIP自体がこの2年ほどのコロナ禍において、どのような変革を迫られたのか、という点からお話しいただきました。この協会が有する2つの大きなイベント(年会と3年に1度のPSWC)と地域イベントが全てキャンセルとなり、イベントからの利益にたよる収益構造を見直したこと、会員へのエンゲージメントを強化するため年間を通してウェビナーやインタビューなどのデジタルイベントを提供したこと、さらにそれらを非会員に対しても拡大したことなどが挙げられました。今後のイベントについては、9月に迫った今年の年会についても、半年前にならないと計画を発進できないなど、主催・サプライヤーともに短期間かつフレキシブルな運営が求められることなどに言及されました。その過程で契約の問題なども発生しますが、お互いがビジネスパートナーとしてお互いへの期待度について透明性をもって情報交換し、協力して解決していくしかない、とも。FIPが対面の会議を重視する意味としては、世界トップの専門家をひと処に集めることで知識の共有・交換をすること、それは、開催地の会員団体を助け、自治体・政府に課題解決の提案をする機会でもある、もちろんネットワーキングは何よりも重要とのことでした。


FIPは2023年にPSWCの横浜開催が予定されておりましたが、このフォーラムの後、残念ながら中止の判断が下されることになりました。

廣瀬先生が主催される会議は、2024年にIEEE WCCI Yokohamaが予定されています。この議論をもとに、横浜で会議を開催することの効果を、主催者との協力のもとに追及していければと思っております。